のりもの
Q. 自動車のタイヤに溝(みぞ)がほってあるのはどうしてですか? (小1・おとこ)
A. うん、いいところに気がついたよね。あのタイヤの溝というのは、いろいろな役目をするんですよ。溝はおもに、タテのものとヨコのものがあるんだけど、まず、タテの溝は、車が横にすべらないようにするためなんですね。
そしてヨコの溝は、道路をけとばすようにする、つまり前に向かってよく進むようにするための溝なの。例えば、靴の底を考えてごらん。もし靴の底が平らだったらすべっちゃって、ふんばったり、駆け出したりするのは難しいよね。
そのために溝どころか、針をうえてある「スパイク」があるぐらいじゃない?それと同じで、自動車にもそういうものが必要なんですよ。それがまずひとつ。
それから、溝の役目のもう一つは、水を流す「川」になります。道路に水たまりなんかがあると、ゴムのタイヤがそれを踏むわけだけど、普通はタイヤが水をかきわけて道路に付くようになってるわけ。だけど、自動車が速く走ると、タイヤが道路まで届かないことがあるんですね。
これはちょっとむずかしい言葉で「ハイドロブレーニング」と言うんだけど、タイヤが水の上ですべっちゃって、ブレーキがきかなくなったりと、とっても危ないことになるんだよ。そういう時あの溝は、水を外側に逃がしてやって、タイヤがなるべく早く道路に付くようにしてくれるんです。だから「川」の役目ということね。
でも、じゃあ溝がなければ車は走れないかというとそうでもないの。例えばF1レースなんてのは、お天気のいい時には、ベタベタの「のり」のようなもので作ったタイヤで走ります。これは、道路に張り付きながら走ろうという考えだから溝がないのね。
でも雨が降ると、やっぱりF1でも溝のついたタイヤを使うんだ。だから、それだけ溝はタイヤに必要なものだってことだよね。わかったかな?

自動車評論家・三本 和彦 先生

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