いきもの
Q. 何で虫は殺してしまってはいけないのですか? (6歳、男の子)
A. 高家先生:実はわたしは虫をたくさん殺してきました。なぜ殺してきたかと言いますと、虫は悪いこともしますし、良いこともします。悪いことは野菜を食べたりすることです。ですから、どうしてもそういう虫を殺さないと私達は食べていけないのです。また、人の血を吸いにくることもあります。
おねえさん:蚊のことですね。
高家先生:ええ。ですから多くの科学者は虫をどうやって殺そうかという研究をしてきました。ところで蚕は知っていますか?
男の子:知りません。
高家先生:蜜蜂は知っていますか?
男の子:はい。知っています。
高家先生:たくさん甘い蜜を集めてくれますよね?
男の子:はい。
高家先生:それは役に立ちますよね。
おねえさん:ハチミツになりますよね。
高家先生:蚕というのは、絹糸を出してくれます。大切なこともしてくれますし、嫌なこともしてくれます。だから、どうしてそういうことをしないようにするか、良いことをしてくれるようにするか、研究する時にわたしは虫を殺しました。何故なら虫のことがよくわからなかったからです。
男の子:はい。
高家先生:小さい時はよくわからずにそういうことをしていましたが、大きくなってから「こういうことなんだ」とわかって育てることも殺すこともしてきました。虫を観察していると面白いことをしますよね?
男の子:はい。
高家先生:そういうことを勉強して昆虫が私達に楽しくしてくれるのかな、というのがわかりました。なので生かすことも殺すことも必要でした。
おねえさん:難しいですねえ。
高家先生:ですから虫の性質を知るにはどうしても殺さなければいけないこともありました。人に病気をうつすのは非常に困ります。蚊なんかはそうです。
男の子:はい。
兵藤先生:ところでゴキブリを殺すのはとても嫌で、わたしの家族は皆ゴキブリを見ると「キャーッ」と言って大変な騒ぎになります。でもゴキブリは人間にとって嫌なことはそんなにしないそうです。
おねえさん:でもゴキブリは悪い菌を運んでくると言いますよね?
高家先生:はい、ウイルスを運びます。
青島先生:蜘蛛の糸(くものいと)の話は知っていますか?
男の子:知らないです。
青島先生:地獄に落ちた悪い人が昔1匹だけ蜘蛛を助けたことがありました。そしたら天国から蜘蛛の糸が落ちてきて、それにのって天国に行けるという話です。だからできるだけ殺さない方がいいです。
おねえさん:絵本でも出ているので、読んでみるのも楽しいと思います。

※「蜘蛛の糸」は芥川龍之介(あくたがわ・りゅうのすけ)さんという小説家の短編です。短い文章ですし、おねえさんも言うように、絵本にもなっているので、ぜひ読んでみて下さい。

作曲家でピアニストの青島広志 先生/昆虫博士の高家博成 先生/兵藤動物病院院長で獣医の兵藤哲夫 先生

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