いきもの
Q. セミが鳴いている時、なんでお尻が動いているのですか? (小3、男の子)
A. おねえさん:お尻ってどういうふうに動くの?
男の子:えっと、何か下に動いたり、上に動いたりしている。
高家先生:そのセミ、なんて鳴いていたのかな?
男の子:ミーンミーンって…。
高家先生:それはミンミンゼミですね。あのね、セミの仲間で「ウンカ」とか「ヨコバイ」というセミと顔つきがよく似たものがいるんだけど、実はそれもセミのように鳴く仕草をするんですね。鳴くということは仲間との交信なんだよね。「ぼくはここにいますよ」と言うことなの。それでね、そのウンカやヨコバイは鳴かないんだけど、おなかを振動させて、その振動が草に伝わって、同じ草に乗っかっているメスがその振動を感じて、「ああ、あそこに仲間がいるな」ということが分かって近寄ってくるんですね。ところが、セミはもっと大きくなってそんな振動ぐらいじゃ仲間が近寄ってこないから音を出すように進化したんです。
男の子:へぇ〜。
高家先生:それで、セミはすごい筋肉を持っていて、その筋肉の先に振動させるものが付いていて、昔、「ペコペコ」というおもちゃがあったんですけど、女性のびんどめ(※鬢留、髪の毛をとめるもの)ってとめるときパチンと音がするんだけど、あれをパチンパチンとやるような要領でものすごい勢いで「ビーッ」って鳴るんですよ。そして、種類によっては音色が変わるんですね。例えばツクツクボウシだったらおなかが節(ふし)になっていて、その節を伸ばしたり縮めたりして音色を変えているんですよ。「ツクツクボーシ! ツクツクボーシ!」って具合にね。でも実はセミのおなかって空っぽなんですよ。
男の子:へぇ〜。
高家先生:オスは「きのう(気嚢)」という空気の袋があるんですが、そこがすごく発達していて、そこに響かせているんです。
青島先生:バイオリンと一緒ですね。
高家先生:そうですね。そのバイオリンのような部分を大きくしたり、小さくしたりして音色を変えるんですよ。「カナカナカナ」「ニーンニーン」「ツクツクボーシ」とかね。一所懸命、お尻を動かして音色を変えているんですね。
青島先生:じゃあ、楽器みたいなものなんですか?
高家先生:そうですね。楽器です。

元多摩動物公園昆虫園の高家博成 先生

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