いきもの
Q. 動物園にいる象やキリンは死んでしまったら、お墓に埋められるんですか? (小3、女の子)
A. 遠藤先生:動物はいつかは死にますよね。動物園で元気に歩いていて、みんなから声援をもらっている動物たちも、みんなの知らないところで死んでいます。象やキリンはものすごく大きく、見上げるほど大きいですよね。象は体重が5トンもあります。みんなの百人分ぐらいありますね。動物の体というのは、死んでしまうと、あの大きな体がその場に横たわってしまいますよね。それで、死んだ動物は埋められることがとても多いです。これは、埋めて天国にいくようにと、お祈りをすることもとても大事なんだけど、もう1つ、とても大事な目的があります。それは、動物は科学や理科の研究の対象なんですね。動物が死んでしまった後も、骨の形がどうなっているのか。生きている時はどういう体の仕組みになって歩いていたのかを確かめたり、調べたりすることに使われたりするんだよね。死んだ動物を埋めて、何年かすると骨になります。これはそのままにしておくのではなくて、例えば、これはぼくの仕事なのですが、埋まって骨になったものを何年か後に掘り返します。それで、博物館や大学にはそういったものを納めておく収蔵庫というところへ持って行くんですね。何年でも長く取っておいて、研究に使うんです。ところであなたは動物の骨なんかが展示してある博物館に行ったことがありますか?
女の子:行ったことない。
遠藤先生:そうか。じゃあ、東京にも神奈川にも博物館はあるので、ぜひ、お父さんやお母さんと一緒に博物館に行って欲しいですね。博物館の人は研究をしながら、骨を並べて展示して、多くの人に骨の構造や形を見てもらうということを教育でやっています。つまり、死んでしまった動物はそれで終わりではなくて、骨に作られて、もう一度みんなの元に新しい知識や研究の内容をもたらすために役立つんですね。だから、ぼくは埋めて骨を作ると、「もう一回生まれて来るんだ」と言いながら、骨を掘り出して、博物館に飾ったりすることをしてきました。
おねえさん:死んでしまっても、その後にまだ、役目があるということですね。
遠藤先生:そうです。
永先生:あのね、動物園の中に必ずお墓があるの。そのお墓は目立たないところにあるの。上野動物園で言うとパンダのいるオリの裏にあるの。
遠藤先生:慰霊碑(いれいひ)と言って、みんなが親しんでくれた動物ですから、亡くなってしまった後に、みんなで拝もうという日が大抵、動物園や大学にも必ずありますよ。
おねえさん:それは動物園のスタッフに聞けば教えてくれるものなんですか?
遠藤先生:そうですね。大抵の動物園が動物を慰霊する碑というのを持っていますね。

京都大学霊長類研究所の遠藤秀紀先生/放送タレントの永六輔 先生

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