いきもの
Q. トカゲは何でしっぽが切れても、生えてくるのですか? (小6・男の子)
A. 千石先生:トカゲの仲間にカメレオンっているの知ってる? あれは、しっぽを木に巻きつけて、暮らしているんだよね。だから、しっぽが切れちゃったら暮らしていけないでしょう。そういうトカゲのように、しっぽが切れないトカゲもたくさんいるのを覚えていてね。日本には、しっぽが切れないトカゲがいないから、日本の人は「トカゲはしっぽが切れる」と思っているの。でもね、世界中で見てみるとしっぽが切れないものもいるんです。
さて、なんでトカゲのしっぽが切れるかだけど、トカゲのしっぽにはもともと切れる部分が作られているんです。ふつうは指でも何でも切れたら血が出るでしょう。でも、トカゲのしっぽは切れるようにできているから、すぐに血が止まるようになってるんです。キミは床屋さんにいったら、髪の毛切るでしょう。そしてまたはえてくるよね。爪が伸びたら切るけど、またはえてくるでしょう。それと一緒です。「再生(さいせい)」って言うんだけど、どんどん伸びるしくみがあるの。そして、切れたときにあまり大ケガにならないようになっているんです。
しっぽが切れるトカゲは、何回切っても何回でもはえてきます。ただ、一回でも再生したしっぽに本当の骨はできません。だから、レントゲンをとると、どんなに立派なしっぽのトカゲでも、一度しっぽを切ったことがあるかないかがわかります。
お姉さん:しっぽの使い勝手はどうなんですか?
千石先生:もちろん変わると思います。それに、トカゲは仲間の中でどっちがえらいか順位があるんだけど、しっぽが切れるとその順位は低くなります。
お姉さん:外から見て、しっぽが切れたものかそうじゃないかがわかりますか?
千石先生:何らかの行動的な違いがあります。たとえば、一度しっぽがきれたトカゲは逃げにくくなっていて、つかまえやすい。トカゲはしっぽに栄養をためているのが多いんで、しっぽが切れると栄養状態が悪くなって、メスはその年卵をうめなくなったりします。しっぽは切れてもはえてきますが、トカゲにとってはとても損なことなので、切りたくはないんですね。
お姉さん:なんで、しっぽが切れるようになっているんですか?
千石先生:なにかにつかまって、食べられそうになったときに本人がつかまって、まるごと食べられてしまうよりかは、しっぽを切ってしまうんですね。トカゲのしっぽは、切れた瞬間にピクピク動く仕組みになっていて、それがすごく激しく動くから敵はそっちの動きに気をとられてしまうんですよね。で、そのすきに本体の方が逃げてしまうんです。自分が逃げるために、しっぽをぎせいにしているんです。

自然環境研究センター:千石正一 先生

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