いきもの
Q. アリはおしりから出す液のにおいをかいで、行列ができるのは知っているのですが、けんかの時におしりから出す液を掛け合うとも聞きました。おしりから出るのは毒なんですか? (小3・男の子)
A. 佐々木先生:確かにアリは、おしりから液を出します。でも、本当にすこしだけで、人間には感じられないうすい香りなんです。ですから、見たりにおいをかいだりすることはむずかしいんです。この液、毒といえば毒なんです。
でもね、この液、ちょっと不思議なんです。例えばアリが行列を作るために液を出すときは、仲間を呼んだり、みんなであつまるときに使います。自分の仲間が死んでしまってはこまるから、仲間がこの液にふれても毒ではないんです。
一方、けんかをする時にこの液をおしりから出す時は、だいたいほかのしゅるいのアリに出すことが多いんです。このとき、ほかのアリがこの液にふれてしまうと大変です。
そう。同じ液なのに、仲間にとっては毒じゃないけれども、敵にとっては毒になるんです。実は、これは自然の中ではすごく多いできごとなんです。たとえば、木の実。鳥が食べてしまうと死んでしまうくらい毒の木の実なんですが、その中に昆虫が入っていたりするんですよ。昆虫にとっては毒ではないんですね。
あるものにとっては毒なんだけれども、あるものにとっては毒ではないっていう物質がこの世の中にはたくさんあるんです。

プロ・ナチュラリスト:佐々木 洋 先生

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