トナカイだけじゃなくて、日本にいるシカもつのが大きいですよね。つのの役目(やくめ)は2つあります。
ひとつは、大きなつのを持っているのはオスなのですが、秋にメスとけっこんするときに、つのを使ってほかのオスときょうそうするんです。そうすると、つのが大きいほうが得(とく)しますよね。かわいいメスとけっこんできるんです。だからつのはどんどん大きくなっていきます。でもね、秋から冬のあいだにポロっと落ちてしまうの。もちろん、つのがなくなってしまうわけではないんだよ。冬がおわる3月ごろになると、袋角(ふくろつの)という新しいつのがちゃんと生えてくるんです。はじめはすごくやわらかくて、それがだんだんかたくなっていくんです。そのあいだは、オスはかたいつのがないから、とたんに元気がなくなっちゃって、メスの方が強くなってしまうんです。おもしろいでしょ。そのころ、メスには赤ちゃんが生まれてきます。あぶないつのがないから、安心して子育てができるんだね。
もうひとつの役目は、トナカイたちは、植物(しょくぶつ)を食べているんだけど、トナカイのように寒いところに住んでいると、冬は寒くてごはんがないときがあるんですね。こういうとき、つのを使ってコケをとったりすることができるんです。これらのために、つのが大きくなるんですね。
動物コンサルタント・川口 幸男 先生
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