じつは小さな鳥はあまり列をつくって飛ばないんです。列をつくるのは、白鳥(はくちょう)やツル、鵜(う)のような、わりと大きな鳥なんですね。さいきんはあまり見ないけど、ガンがわたってくるときにきれいな三角形(さんかくけい)の列ができていました。東京などでは川鵜(かわう)という鳥の列がよくみられています。
でもね、おもしろいことに、列の先頭(せんとう)はじつは決まった鳥ではなくて、よく入れかわっているんです。「飛ぶ」ということは鳥にとってもたいへんなことなんですね。重力(じゅうりょく)にさからいながら、前に進まなければなりません。その中でらくに飛ぶためには、前の鳥のななめ後ろが、気流(きりゅう)の関係でいちばん飛びやすいそうなんですね。とくに大きくておもい鳥は飛ぶのがとってもたいへんだから、一羽(わ)が飛ぶと、みんならくをしようとして、そのななめ後ろに行こうとするんです。そうやって飛んでいくと、結果としてきれいな列ができるんですね。
だから、一番前の鳥は一番強い風があたるのでつかれて困った顔をしています。よく見ているとわかりますよ。でもしばらくすると先頭の鳥は、つかれきって先頭をやめちゃうんです。そうすると2ばんめにいた鳥が先頭になって、「これは困った。」という顔をします。それでしばらくはその鳥が先頭を飛ぶんだけど、やっぱりその鳥もつかれて先頭をやめちゃいます。そうするとまたちがう鳥が先頭になって・・・というように、先頭がどんどんかわっていくんですね。おもしろいでしょ。
あと、「丸くなって」と言うのは、きれいに列になる前のじょうたいだと思いますよ。
日本野鳥の会ネイチャースクール所長 安西 英明 先生
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