たしかに、恐竜時代の生き物は変なかっこうをしているよね。もっと言えば恐竜時代の前からいる生き物もやはり変なかっこうをしていますね。
じゃあ、何で変なかっこうをしているんでしょう?それはね、人は見たことないものに対して「変だな」と思ってしまうからなんです。
たとえば、明治時代に上野に動物園が出来たとき、たくさんの人が動物園に行きました。そして、それまでの日本の人たちが知っているのはクマやシカ、サルぐらいだったので、初めて見るゾウやキリン、ライオンなどを「なんて変な生き物なんだろう」と言っていたんです。
でも今は、動物園にゾウやキリンがいるのはあたりまえだし、アフリカにいる動物やインドにいる動物だってみんなテレビで知ることができるよね。だから「変だ」とは思わない。
でも恐竜のような昔の生き物の実物には実際に会う事ができないよね。だから「変な形だな」と思ってしまうんです。でも逆に言えば、恐竜時代の生き物にとってはその「へんてこな形」が当たり前なんだよね。その方が普通だったし、暮らしやすかったの。つまり、動物に「変」とか「変じゃない」ということはないんです。動物たちはそれぞれの暮らし方にあったかっこうをしているんです。いろいろな暮らし方にあった格好をしているんです。だからね、逆に「どうしてこの生き物はこういう形をしているんだろう?」ということを考えていくと、その生き物の生きている時代や暮らしの様子がわかるんです。だから「変」というのではなくて、「見慣れていない」ということだと思いますよ。
イラストレーター・ヒサ クニヒコ 先生
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