いきもの
Q. 恐竜は骨しか残っていないのに、皮膚(ひふ)の色がどうしてわかるんですか? (小4・おんな)
A.

キミの疑問は正しい!
今の動物でも、骨だけ見たって骨から色はわからないでしょう。
たとえばパンダの全身骨格なんかはクマさんみたいな骨をしていて、とてもパンダみたいにはかわいくないんだよね。

恐竜も骨が化石になったものが多いよね。だから本当は色はわからないんです。
いろんな図鑑を見てみると、同じ名前の恐竜でも本によって色や模様が違ってると思うよ。
というのは、図鑑の絵を描くときにさ、真っ白で恐竜を描いたらおかしいでしょ。
生きてた動物なんだから、それらしく描きたいじゃない。だからこういう色だったら不自然じゃないんじゃないかなとか、こういう色だったらかっこいいかなとか想像しながら描いてるんです。

たとえばキリンでもカバでもゾウでも、同じアフリカのサバンナの中に、同じ時代に生きている同じ草食動物でも、ぜんぜん色や模様が違うじゃない。だから動物の生活にとって色っていうのはものすごく大事なんですけども、色そのものは、骨からはわからないんです。ただね、最近になって、恐竜が生きていた時代のカメの甲羅(こうら)の一部から色素っていって、色の元になる物質が見つかった例もあるんですね。だからもしかしたら恐竜でも保存状態のいい化石だと、そういうものが見つかるかもしれません。
あとね、同じ想像でもまちがった想像と正しい想像があるわけ。

たとえば、シマウマっていうのは体にシマがあるでしょ。で、あれは群で暮らしてて、走るのがとても速いんだよね。ライオンが襲おうとしたときにシマウマが四方八方にパーっと逃げるとあの模様のおかげで、どのシマウマがどっちに向かって逃げたかっていうのがわかりにくくなるわけ。そうすると、ライオンが右に行くと思って追っかけたのに実は左に向かってたら、もうライオンは追いつけないのね。そのときに、たとえば調子の悪いとか、年をとったシマウマとかだと、走るのが遅くてつかまっちゃったりするんだけども、ふつうは、あの模様のおかげで生き残れるわけ。

ところが、恐竜の模様がわからないからといって、かっこいいからシマウマ模様つけちゃおうとしても、たとえば群れじゃなくて一匹で暮らしてるとか、走るのが遅いような恐竜にシマウマの模様をつけたらそれはおかしいんだよね。
だからみんなこの恐竜はどんな暮らし方をしていたのかな、何を食べてたのかなってことを考えながら、色や模様を決めているんです。
だからある程度はこんな感じかなっていうのは想像しているんですけど、でも正しい模様かどうかっていうのはわからないんです。

キミも、「この恐竜だったらこの模様はおかしいな」とか「この恐竜の暮らし方だったら、こういう色がいいな」とか考えてながら図鑑を見てみるといいよ。
それと同時に、今いる動物は、「なんであんな色や模様をしているんだろう」って考えてごらん、おもしろいから。
たとえば体の一部にちょっとだけ白いところがあって、そこがお嫁さんがほしいときに突然赤くなったりするとかね。
だから動物の体にとって、色ってものすごく大事なんだよ。
おもしろいところに気がついたと思うから、恐竜と同時に今の動物の色についても考えてみて下さい。


イラストレーター・ヒサクニヒコ 先生

[戻る]