いきもの
Q. カブトガニは昔からいると言われていますが、どうして今でもいるんですか? (小5・おとこ)
A. カブトガニはどこで見たの?

こども:水族館で見た。

そっか。あのね、カブトガニっていうのは、それこそ恐竜時代からいたんですよ。今いるカブトガニっていうのは、大西洋の西側、つまりアメリカの東海岸あたりね、それから太平洋の西側、つまり日本とかベトナムとかその辺にいるんですよ。
こんなに離れちゃってておかしいでしょ?これは、もう恐竜時代に分かれちゃったんですね。同じような格好をしてるんだけど、実際には全然違う仲間なの。例えばアメリカのカブトガニと、日本のカブトガニも格好はよく似てるんだけど、結婚させようとするとできないんですよ。
分かれて育って1億年以上経ってるから、全然違うグループになってしまってるんですね。だから、恐竜時代のカブトガニと今のカブトガニは、全く同じかどうかは分からないんです。今のカブトガニの祖先であることは確かなんだけど、細かい環境の変化で変わってきてるかもしれないんだ。
じゃあ、今なんでいるのかというと、日本では瀬戸内海とか九州の一部にいるんだけど、そこは干潟(ひがた)の環境なんだよね。カブトガニは干潟が出来るような場所で、卵を産んで育つんです。
生き物っていうのは環境が同じであれば子孫をずーっと残して生き続けることができるの。ところが、今日本でカブトガニは絶滅に瀕(ひん)してるのね。それは開拓とかで干潟をどんどん埋め立てちゃって、カブトガニが卵を産む場所がなくなってるからなんです。
でもカブトガニは大昔と同じような環境さえあれば、これからもずーっと生き続けられる動物なんです。アメリカでも大事にされていて、今保護しようということなんだけど、日本では”生息地域”が天然記念物に指定されているの。カブトガニそのものじゃなくて”生息地域”が天然記念物。
だから、その地域からはみ出したカブトガニっていうのは、例えば漁師さんからは網を切っちゃうなんてことで、やっかい者あつかいを受けてたりするんですよね。月の輪グマなんかも絶滅に瀕してるんですよ。でも、森で仕事をする人にとっては恐ろしい動物なんですよね。
だから、「大事な動物だから次の世代まで生き残らせよう」って気持ちがないと、どんな動物も滅びちゃう可能性があるんですよね。それぐらい、人間の活動はどんな所にまでも及んでいるんです。そういう意味では、カブトガニがなぜ生き残ってるかっていうと、昔と同じような環境が続いてた所があったから。
でも、これから生き残ることが出来るかっていうと、それは、その環境を人間が守れるか守れないかってことだよね。だから水族館の中だけでカブトガニを見たから、「ああ、いいんだ」っていうんじゃなくて、「カブトガニはどういう所にすんでるんだろう?ああ、干潟に住んでるのか。じゃ、そういう場所を守らなきゃいけないんだな」っていうことを勉強できればいいなって思います。

イラストレーター・ヒサ クニヒコ 先生

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