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アメリカ ボズワース・前北朝鮮担当特別代表 インタビュー

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金平キャスター

本日は、当番組のためにお時間をさいて頂き、ありがとうございます。

日本の主要メディアでは、キム・ジョンイル死去のニュースがほとんどを占めています。日本で放送されているニュースの8割以上がキム・ジョンイルに関連した話題だと言ってもいいでしょう。日本国民は、この近隣にある国に高い関心を持っています。

その理由の一つですが、日本は、いまだに拉致問題に苦しめられています。感情的になりやすい問題だけに、北朝鮮で実際に何が起きているのかを理解するうえで判断を誤ることがあります。私は、この問題について、冷静かつ正確に分析したいと思います。そこで、大使には、ぜひ当番組にご協力を頂ければと思います。

最初に質問ですが、キム・ジョンイル死去のニュースを、いつ、どこで、どのようにして知りましたか?また、それを聞いて、まず何を思ったのか、教えてください。

ボズワース氏

日曜日の夜に、ここボストンで知りました。妻と私は、フレチャー・スクールを代表してインド、ドイツ、イギリスを訪問する長い旅に出かけており、その旅から帰ってきたばかりの時でした。私は、家の中に入るとすぐにテレビをつけニュースをみました。そしてキム・ジョンイルの死去を知りました。私は、まず何よりも驚きました。

金平キャスター
予想していなかったからですか?
ボズワース氏

まったく予想していなかったわけではないですけれどね。
彼は、ここのところ、病気を患っていましたから。2008年には、深刻な発作に襲われました。深刻な状態で、医者から治療を受けていることは知っていました。いずれこうしたことが起きるとは思ってはいました。世界は、この出来事に対処できると確信しています。

金平キャスター

ニューヨークタイムズの12月20日付の記事で、アメリカと韓国は、キム・ジョンイルの死に関する手掛かりを見落としていたと伝えています。

彼は、北朝鮮国内、列車の中で、土曜日(17日)午前8時30分に亡くなっていました。ニューヨークタイムズの記事を引用すると「それから48時間が経過した後も、韓国の政府関係者は何も把握しておらず、ワシントンにも何も伝えていなかった。米国務省は、キム・ジョンイルの死を報道によって知ったが、それよりはるか前に、北朝鮮の国営メディアがそのニュースを伝えていた」

これは、機密情報の収集に失敗したということでしょうか?もしそうだとしたら、このような諜報活動の失態は、信じられないことだと思いませんか?

ボズワース氏

私はそうは思いません。まず、私は、これは、諜報機関による失態だとは思いません。誰もが知っているように、北朝鮮は非常に閉鎖的で秘密主義の国です。ですから、キム・ジョンイルの日々の動向を把握できなくても、決して驚くことではありません。彼が列車内で死んでも、分からないこともあるでしょう。彼が一定期間、我々の前から姿を消してしまうことが、過去に何度もありました。どこかに身を隠していたのかもしれませんし、病気だったのかもしれません。これを諜報活動における失敗と呼ぶのはナンセンスです。

金平キャスター
次の質問は、一般的なものですが、アメリカ政府の対北朝鮮政策は、今後、どのように変わると思いますか?
ボズワース氏

まず、私は、アメリカの政策の策定に、今現在は関わっていません。

アメリカの政策が劇的に変わることはないと思います。アメリカの政策は国家の利益、日本や韓国を含むアメリカの同盟国の利益を基準に考えています。そうした利益は今後も変わりませんから、私たちもこれまでと同じ目標をめざして、政策を実行していくことになるでしょう。今回、北朝鮮で政権移行が行われるわけですが、私たちが、今後も北朝鮮に継続的にアプローチしていくことが重要だと思います。

金平キャスター
北朝鮮との交渉における基本的な枠組みは変わらないとおっしゃるのですね?
ボズワース氏

そうです(変わらないと思います)

金平キャスター
あなたのこれまでの経験から考えて、アメリカが北朝鮮と交渉する際、一番留意しなければならないことは何ですか?
ボズワース氏

ご承知の通り、私たちは、六か国協議を再開するための条件を整えるため、関係国とともに努力を重ねてきました。私も、7月に北朝鮮の関係者と会いました。10月の終わりには、ジュネーブでも会いました。今後は、私の後任、デイビス大使のもとで、そうした努力が続けられていくと思います。

いずれかの時点で、これらの一連の話し合いが実を結び、六か国協議が再開されると、私は、自信をもって公言できます。

金平キャスター
同じような質問になりますが、我々の情報筋によりますと、アメリカと北朝鮮は、12月22日に、北京で二国間協議を計画しており、その条件として、北朝鮮は、ウランの濃縮を一時的に中断することに合意したと聞いていますが、この話が本当である可能性はありますか?
ボズワース氏

可能性はあると思います。定かではありませんが、私が関わっていた時は、すくなくても、それを目標にしてきました。10月に行われた最後の二国間会議でも、そのことが話し合われました。私たちは、近いうちに再び二国間会議が開けることを願っています。今回、北朝鮮で政権移行がありましたし、キム・ジョンイルの死去に喪に服する期間もあるでしょうから、日程を変更するか延期する必要があると思います。

金平キャスター
私たちの情報源によると、ニューヨーク・チャンネルを通じて(関係者が)飛行機で北京に向かい、何らかの交渉の準備にあたっているとのことでした。 それに関して、何かご存じですか?
ボズワース氏

現在ニューヨーク・チャンネルで起きていることに関しては、私は、コメントを控えたいと思います。ご承知の通り、ニューヨーク・チャンネルの国連に対する任務は、ワシントンにある国務省との橋渡しです。

金平キャスター
さらに情報筋によりますと、キム・ジョンイルの死後、アメリカの政府関係者が北朝鮮の外交官に会ったとのことでした。彼らによると12月19日、ニューヨーク市でアメリカの外交チャンネルが北朝鮮側と接触したとのことです。それについて、何かコメントは?
ボズワース氏

ありません。無愛想な態度をとるつもりはないのですが、私は今は直接関わっていませんから。

金平キャスター
日本の拉致問題は、アメリカの対北朝鮮交渉にどのような影響がありますか?
ボズワース氏

北朝鮮に対する外交活動全体の中でも、大変重要な問題だと思います。
私は、北朝鮮側と会うたびに、この問題はアメリカにとっても懸念すべき問題であることを伝え、北朝鮮と日本は、この問題について二国間で直接話し合うことが重要だと提案してきました。

金平キャスター
日本の民主党政権は、対北朝鮮外交で、十分な力を発揮できると思いますか?
ボズワース氏

彼らがどれだけの力量があるのか(彼らがどんな手段を持ち合わせているのか)、私には分かりません。日本政府には、さらなる努力を期待しています。

もちろん、交渉を進展させるために、これまでも努力してきたのでしょう。しかし、今民主党が具体的にどのような努力をしているのか、私には分かりません。この問題について、政策を決めるのは民主党ですが、実際に取り組んでいるのは、主に外務省だと思います。私は、民主党がどのような発言や努力をしているのか分からないので、批判をするつもりもありません。

金平キャスター
あなたが北朝鮮との交渉を担当していた頃の日本の総理は、鳩山氏と菅氏でした。今は野田総理大臣です。北朝鮮との交渉において、継続性(一貫性)が保たれていると思いますか?
ボズワース氏

私が理解している限りでは、ここ2,3年、日本と北朝鮮は、直接交渉を行っていないと思います。水面下で静かに対話が行われてきたのかもしれません。ですから、継続性が保たれているのかどうかを私が判断するのは難しいと思います。

金平キャスター
オバマ政権下では、北朝鮮政策の担当者が変わりました。アメリカと北朝鮮の関係改善は期待できるのでしょうか?
ボズワース氏

関係が改善するか否かを判断するのは、今は難しいでしょう。二国間にある課題や問題で、どの程度改善するかできるかによるでしょう。

担当者が変わるのは、ごく普通のことです。六か国協議で特別代表を務めていたソン・キム氏とは、私は2年以上にわたり一緒に仕事をしてきましたが、彼は、今では、駐ソウルアメリカ大使です。彼の後任は、別の外務職員局の高官です。担当者が変わっても、政策そのものが変わるわけではありません。

私はフレッチャー・スクールでフルタイム働きたいと願い、2年半担当した後に職を離れることになりました。私の後任には、デイビス大使が選ばれました。あらゆるケースについて、引き継ぎはスムーズに行われました。私は、デイビス大使を大変尊敬しています。政策が変わることはありません。これからも同じです。

金平キャスター
専門家の中には、北朝鮮は、キム・ジョンウを中心とした集団(共同)支配に移行するのではないかとの意見があります。その中には、彼の叔父、ジャンソン(ヤンソン)・テクや軍の指導部も含まれます。我々の情報源は、キム・ジョンイルが、亡くなる前に、そうしたグループを作っており、軍によるクーデターが起きる可能性は低いと述べています。この分析に対する、あなたのコメントは?
ボズワース氏

北朝鮮政権において、軍は常に不可欠(重要)な存在です(労働)党や官僚とも密接な関係にあります。ですから軍事クーデターは考えにくいと思います。

しかし政策決定については、キム・ジョンイルが死去しジョン氏が政権に就いたことで、これまでと比べ、より集団的(共同作業)になると思います。彼は、経験が浅く若いですから。しかし、北朝鮮が君主制国家であることを考えると、彼が政権の顔として選ばれたことは間違えがないと思います。

金平キャスター
次は、非常に強い影響力をもつ中国についての質問です。中国は、どのような役割を果たすべきだと思いますか?
ボズワース氏

中国が果たす役割は非常に重要です。中国は、六か国協議の議長国です。北朝鮮とは、長い国境を共有しています。数千年にわたり交流してきた国どうしです。中国がこれからも中心的な役割を果たしていくことは、容易に理解できます。

金平キャスター
最後に、あなたから日本の人々にメッセージをお願いします。
私たちは、この近隣国(北朝鮮)とどのように向き合って生きていけばいいのでしょうか?あなたから、日本へのメッセージをお願いします。
ボズワース氏

まず北朝鮮の問題を早期に解決する手段はないと思います。北朝鮮問題に対しては、真剣かつ継続的に対処していかなければなりません。

長期的な視野に立って、北朝鮮を域内(アジア)の関係、特に経済関係の中に取り込んでいくことが重要です。それには、忍耐と、(継続的な)関与が必要です。何かを得るには、相手にも何かを与えなければなりません(妥協も必要です)非常に複雑な交渉を必要とする問題です。しかし、(関係国が)みんなで力を合わせれば、素晴らしい関係が築けるかもしれません。


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