第6回TBS連ドラ・シナリオ大賞受賞者決定!

1月25日(木)18時45分


前列左から、木下幸太郎さん(佳作)、小田康平さん(大賞)、齋藤萌さん(佳作) 後列左から、十二竜也ドラマ制作部長、園田憲取締役、渡辺正一制作局長

前列左から、木下幸太郎さん(佳作)、小田康平さん(大賞)、齋藤萌さん(佳作) 後列左から、十二竜也ドラマ制作部長、園田憲取締役、渡辺正一制作局長

次世代の脚本家を発掘・育成するために始まった「TBS連ドラ・シナリオ大賞」。現役ドラマプロデューサー陣が審査員を務め、過去5回の受賞者や勉強会参加者から続々とプロの脚本家が生まれている。第6回となる今回は、2017年2月から募集を行い、941編の応募があった。このたび厳正なる審査を経て、各賞が決定した。


●大賞
  小田 康平 「空の青より、もっと青く」
●佳作
  木下 幸太郎 「懲戒捜査員 遠山圭吾」
  齋藤 萌 「こころは七色」
●入選
  石川 浩子 「隣の島の芝生」
  大坪 哲郎 「ぬくもりクラブ」
  緒方 苑 「缶詰の底に昇る月」
  川島 祐介 「俺をクズにしてくれ!」
  佐々木 俊介 「ギフトボックス」
  新野 ミリ 「音無しファンファーレ」
  花村 桂 「Lady justice の黙示録」
  森永 直人 「ダメでもともと」
  (50音順)
●最終選考審査員
  十二 竜也
  瀬戸口 克陽
  平野 俊一
  加藤 新
  高成 麻畝子
  高山 暢比古
  東仲 恵吾
  松本 友香

<審査員代表・十二竜也 (ドラマ制作部長)コメント>
入選された皆様、本当におめでとうございます。
「TBS連ドラ・シナリオ大賞」も今回で6回目。前回の開催から少しお時間をいただいたこともあり、想定を超える大変多くのご応募をいただきました。そのため、予定していたタイミングから遅れての結果発表となり、ご応募いただきました皆様にはご迷惑をおかけいたしましたことを、まずはお詫び申し上げます。さて、今回はその多くの応募作の中から、大賞1作、佳作を2作、8作を入選作として選ばせていただきました。
今回の最終選考に残った作品の傾向としましては、個性の際立ったキャラクターが活躍する作品と、いわゆる等身大の主人公が「自分」と「状況」の狭間で葛藤する様を軸とした作品にはっきり分かれたように感じます。また、「LGBT」や「老い」などかつては重いテーマとして扱われることが多かった要素も、ごく当たり前に、誤解を恐れずに言えば「カジュアル」に登場し、作者の皆さんのより現代的な感覚を垣間見ることができたようにも思います。
その中でも、今回の受賞作はいずれも独創的なテーマ選びや印象的な台詞が傑出しており、脚本家としてのポテンシャル・将来性を大いに感じさせていただける作品でした。
受賞者・入選者の皆様におかれましては、今後、TBS現役プロデューサーとの勉強会に参加していただく予定ですが、そこでさらに実力を伸ばしていただいて、新たなドラマをぜひ一緒に作っていけたらと思っています。第6回の受賞者の今後の活躍に、どうぞご注目ください。



●受賞作品内容

■大賞 「空の青より、もっと青く」
 氏名 小田 康平(オダ コウヘイ)
 年齢 22歳
<ストーリー>
【諦めた夢のさきに、見えた景色は…】
一年前の全国大会で怪我を負った天才高校生ランナーの小峰颯(18)。過酷なリハビリに耐え、ようやく練習を再開した颯を待ち受けていたのは、大学からの推薦取り消しという、想定外の事態であった。
颯の父で、大学駅伝の強豪・帝央大学の監督である小峰稔(51)が颯の推薦を取り消した事で、獲得に名乗りを上げていた強豪校たちも一斉にその手を引いた。我が子の行く末よりも自分の監督するチームの勝利に固執する稔の姿勢を良く知る関係者たちは、颯の怪我は完治しないものだと判断したのだった。
完璧主義の颯は自らを追い込むメニューで必死に一年間のブランクを埋めようともがくが、自分の左足が以前のように動かなくなっていることは、18年間自分の体と向き合ってきた颯が一番よく分かっていた。
リハビリセンターで出会った同級生の千彩音(18)は、患者とは思えないほど元気で、口が達者で、颯の孤独なリハビリの世界にズカズカと踏み込んで来る、性格的には水と油のような存在であったが、患者仲間ということもあって、共感することも多く、本音を話し合える関係になるのに時間はかからなかった。
「ランナーは前だけを向いて走る」。颯の前向きな言葉に背中を押された千彩音は、陸上競技の夢を棄てて、これまでの栄光を利用しての大学進学という後ろ向きな決断をした颯に「ふざけんな! 人の背中を押しておいて」と怒りをぶつける。
颯は考え直し、大会への出場を決断する。それは諦めるために、自分に用意した引退レースであった。大きく遅れをとってゴールした颯のもとにスカート姿の千彩音がやって来た。「走ってみたい。あんた見て、走ってみたいと思った」スカートをたくし上げた千彩音の右足は義足であった――。

■佳作 「懲戒捜査員 遠山圭吾」
 氏名 木下 幸太郎(キノシタ コウタロウ)
 年齢 32歳
<ストーリー>
【会社組織の圧力に立ち向かう一個人の闘い】
社員5,000人を有する新興IT企業クラウドエックス社で働く遠山圭吾(36)は出世コースを順調に進んでいる中堅社員。この急成長を遂げたベンチャー企業の社員たちが日々、戦々恐々としているのが、ここ半年で急増した懲戒処分の貼り出しである。そして、今日もまた新たに3名の処分が貼り出された。「パワハラで降格」「二重就業で解雇」「痴漢逮捕で懲戒免職」。
見え隠れする組織的な意図に、社員たちが不安を覚えるのも当然。社内の統制強化を社長から命じられた新任人事部長の山科修一(47)が秘密裏に社員の中から選抜した「懲戒捜査員」が暗躍していたからだ。
その能力と会社への忠誠を買われた遠山も懲戒捜査員に任命された一人で、リサーチ部で発生した機密流出事件の捜査にあたるよう命じられる。容疑者は宮本かんな(24)。
かんなは夜10時以降、会社近くのファミレスでの持ち帰り残業が習慣化していて、そこで使用するセキュリティの脆弱なフリーWi‐F?が情報流出の原因となっていた。リサーチ部長の高倉雄二(47)はかんなが流出元だと報告を受けるや否や、人事部に引き渡して自らの責任を回避しようとする。その姿に、会社の責任を一身に背負わされ懲戒解雇処分となった父親の姿を遠山は思い出す…。
就業時間の引き締めで不正労働の温床を作り、過度なプレッシャーを部下たちにかけ続けた高倉こそが処分されるべき対象であると見抜いた遠山は、山科に詰め寄り、懲戒処分の撤回を求める。山科は拒むが、遠山は社内で入手した労働基準監督署への請願書類をちらつかせて取引を図る。
山科はかんなへの処分を取り下げ、代わりに高倉を降格させることを決める。この結果に社内は大きな盛り上がりを見せるが、激昂した高倉は遠山の過去を洗いざらい調べるよう部下に命じる…。
一個人が「表向きホワイト企業」の圧力に立ち向かう闘いがいま始まる!


■佳作 「こころは七色」
 氏名 齋藤 萌(サイトウ モエ)
 年齢 24歳
<ストーリー>
【同性愛男性カップルと同居することになった少女の一夏】
区役所に勤める小谷秋彦(36)の恋人は、“美しき天才小説家”と世間から持て囃され、新作が待望される小説家の加藤秀二(40)。飾り気なく率直に物事を表現する秀二と、きめ細やかな気遣いで相手を慮って話す秋彦。性格は違えど、秋彦がご飯を作り、二人で食卓を囲む毎日を心地よく過ごしていた。
しかし、ある日を境に二人の関係はギクシャクし始める。それは秋彦のかつての恋人である大木りさ子(38)から、アメリカ出張中のこの一夏だけ娘の夏美(8)を預かってほしいと頼まれ、それを断れずにいたからだ。しかも、夏美はりさ子と秋彦の間に出来た子供であった…。
秀二の事を慮って、言い出せずにいた事が却って二人の関係をおかしくさせた。夏美を預かると一人で決心してから、秀二にその事を打ち明けるが、最近様子のおかしい秋彦から別れ話を切り出されると身構えていた秀二は肩すかしにあう。秀二には夏美を親戚の子供と嘘をつき、夏美には自分が実の父親であると伏せたまま三人の共同生活が始まる。
夏美が家に来た初日、秋彦は好物であると聞いていたオムライスを作る。オムライスが好きな理由として、夏美はその言葉の色が綺麗だからという。夏美は耳にした言葉に色が見える「共感覚」の持ち主であった。
秋彦と秀二の名前が混ざると綺麗だとも言った。子供に興味のない秀二であるが、そんな夏美に興味を持ち始める――。
繊細で色鮮やかな三人の会話で紡がれる、一夏の共同生活が始まる。



<第6回「TBS連ドラ・シナリオ大賞」受賞者コメント>
●大賞受賞:小田康平さん
「脚本でも書くか」と、気まぐれを起こしたのが大学三年の夏。志していたことに挫折し、暇を持て余していた頃でした。
ネットに“題材は身近なものがいい”とあったので「学生時代やっていた陸上競技かな」と題材決定。また“作品にテーマを”とあったので「怪我させて、挫折を乗り越えるでいいか」とテーマ決定。書きはじめたものの、ト書きは3字下げるとネットにあるのに、参考に見たシナリオの雑誌は明らかに2字下げでパニック。ワードのページ設定が上手くいかなくてイライラ。電話のシーンの書き方が分からないから着拒。なんとなく完成した作品を第5回TBS連ドラ・シナリオ大賞に提出しました。一次で落ちました。暇潰しのはずなのに悔しさがこみあげてきて、シナリオの学校で一から勉強することにしました。
それから二年。脚本家を志すようになって挑んだ今回の題材は陸上競技。テーマは挫折。登場人物の名前も第5回の作品とほぼ同じにしました。ただ自分でも驚くほど内容は違います。2年間の成長を試す、待ちに待った場が今回の第6回TBS連ドラ・シナリオ大賞でした。
信じられない無知と馬鹿げた自信をもって、謙虚に努力します。
この度はありがとうございました。


●佳作受賞:木下幸太郎さん
この度は佳作にお選び頂き本当に有難うございます。
私はリーマンショック直後に就活をして、なんとか受かった携帯会社で30歳を過ぎるまで漫然と働き、“あれ、この人生で良いんだっけ?”とふと立ち止まり、目を背けていた創作をしたいという気持ちを直視し、昨年から衝動的に脚本を書き始めました。
そして、脚本家デビューの“35歳の壁”の存在を知り、一度オーソドックスな人生のレールを踏み外すと二度と戻れない恐怖を感じつつも、“2020年までの3年間で白黒付けよう!”と会社を退職。その翌日に最終選考通過のご連絡を頂きましたので、喜び以上に安堵の気持ちで一杯でした。
私はデジタルネイティブ世代ですので、新しいテクノロジーを活用した表現を模索したいと思っていますし、何よりも重苦しい停滞感の中にいる、同世代のビジネスパーソンの心を震わせられる作品を作りたいと思っています。
脚本を書き始めて1年――無理やりポジティブに捉えれば、脚本家としての“肩”はまだほとんど消耗していないので、これからの酷使にも十分耐えられると思っております!
最後になりますが、きっと総合力ではなく伸び代を評価頂いたTBS関係者の皆様に心から感謝申し上げます。


●佳作受賞:齋藤萌さん
「脚本家になりたいんです」と言うと、大概の人から「脚本家ってどうやってなるの?」と聞かれます。
そう聞かれると私も答えに困ってしまって、コレという一つの方法は無いんだよなあという事に改めて気づかされていました。「コンクール」「コネクション」色々ありますが、どれも確実なものではなくて。悶々としながらも、とりあえず書き続けなければと自分に言い聞かせてコンクールに送ったり、人に見てもらったりを続けていました。
そんな中こちらのコンクールのことを人から教えてもらい、応募を決めました。
最終選考通過の連絡をいただいた時はうれしさとともに「ちゃんと送れてたんだ」という安堵の方が強くありました。応募締切のギリギリに送信ボタンを押すことになってしまい、これは送れていないかもしれないと半ば覚悟していたもので。
拾い上げてくださったことに感謝いたします。とりあえずまだ書いてていいのかなと思えました。しかしこの受賞で満足していてはなんの意味もありませんので、これをまず第一歩と考え、勉強会に参加したいと思っています。どうぞ、よろしくお願いいたします。

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