新時代の心臓手術─ロボット手術とは?|日曜劇場『ブラックペアン』

SURGICAL SYSTEM

新時代の心臓手術─ロボット手術とは?
第5話から登場する手術支援ロボット・ダーウィン(※)
最先端の“ロボット手術”について、
監修先生のお話を基に紐解いていきます。
(※)高精度の3D内視鏡を備え、超精密な手術を行う実在の内視鏡下手術支援ロボット・ダビンチが劇中では「ダーウィン」という名称で登場します。

vol.2ロボット登場!第5話についてロボット手術のパイオニア渡邊剛先生が徹底解説

いよいよロボットが登場しましたが、ロボットで心臓手術というのはドラマの世界だけなのでしょうか?

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正直、ドラマを見てびっくりされた方も多いのではと思っています。
でも、実は現実の方が進んでいるんですよ。
ドラマの中ではダーウィンという機械が出てきますが、実世界でも今、ダビンチという手術支援ロボットは既に医療現場のあらゆる場面で活躍していますし、心臓手術の現場でも始まっているのです。ただ、まだまだ知らない人も多いという状況じゃないでしょうか。
実際に、僕らの病院でも診察に来る患者さんが、皆さんロボット手術のことを知っているわけではありません。診察室で初めて身体への負担が少ないこと、回復が早く社会復帰までの時間が短いことなどを知って、ロボット手術を決められる人も多くいらっしゃいます。

心臓手術のイメージって、 正中切開という胸のど真ん中を長く切って筋肉を切って、骨を切って骨の血を止めて、心臓の動きを一回止めて取り出して、それで中を治すという大手術というイメージだと思うのですが、この方法だと、完全に回復できるまで何カ月もかかってしまうし、あとあと傷が痛んだりすることもあります。
最近では、小切開(MICS)という方法で、より傷の小さい手術法も盛んに行なわれるようにはなりましたが、それよりも更に傷を小さく、負担が少なく、と追及したのがロボットによる心臓手術なのです。
ロボットの場合は、人差し指とか小指の大きさの穴を4つだけ開けて、そこから内視鏡の機械を入れて手術をするという流れで、ロボット制御された緻密な動きで細かな処置も正確に安全にできます。穴だけなのに、胸を大きく開けた手術と同じ内容の手術ができるんです。切ったり、縫ったりもロボットを介して行うということです。
傷が小さいということは当然出血も少ないし、回復がとても早い。
手術を受けられる方の多くはまだまだ働き盛りだったり、ご家族との生活や趣味、楽しみたいこともいっぱいあったりする方々が多いわけですから、やはりなるべく早く元の生活に戻してあげることはとても大事だと思っています。入院生活が長引けば、体力的にも経済的にも負担になりますしね。

ドラマでは外国産のロボットという設定でしたが、実際には?

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実は今、世界中で最も普及しているのはアメリカ産の手術支援ロボット「ダビンチ」です。
ほぼ独走状態と言ってもいいくらい、今年3月末現在で世界に4500台以上あって、最も多いのはアメリカですが、次に多いのが日本です。日本中に300台以上ありますね。僕がダビンチに出会ったのは2000年の初めですからもう15年以上前、一号機を見た時には感動しましたよ、これは本当に手術が変わるって。
今までの手技では到達しにくかったところや見にくいところ、細かいところでも、3Dの立体的は画像を大きな画面で見ながら、しかも精密な動きで治療することができる。画期的だと感じました。
ダビンチは、毎月何億もの開発費をかけてものすごいスピードで開発され、今も進化し続けているロボットです。すぐに「これは、どうしたら医療に取り入れられるだろうか」と考えましたね。
最近では、多くの方は泌尿器科の前立腺手術で使われているのは知っていると思うのですが、心臓手術でも使っているというのはまだまだ知られていないのかもしれません。でも、実は心臓のように繊細かつ失敗の許されない部位だからこそ、その正確さ、緻密さが生きてくる面はあるし、意味合いも大きいと思います。
ただ、このダビンチは誰にでもすぐに使えるというモノではないんですよ。
そもそも心臓手術の腕が優れていなければいけない。心臓手術の経験を積んで内視鏡の知識もあって、更にはダビンチのトレーニングをきちんと積んだ人しか使えません。
ロボットと言うとボタン一つでピッて、誰でもできるイメージを持たれているとしたらそれは全く違いますね。術者、扱う人の技量がとても問われるんです。
心臓は他の臓器とも違って、動く臓器ですし、当然出血もしやすいですし、替えがきかない臓器ですからね。僕らの場合は、医師だけではなくてチーム全体で何度もアメリカにも足を運んでトレーニングを積んできました。

ドラマの中では、松岡医師がダビンチ使いという役で出てきましたが、どう思われましたか?

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まず最初に指摘するべきは、松岡医師の「自分は何例も症例を重ねてきた」というセリフにも表れている、腕がいいというおごりでしょうね。患者さんは一人ひとり違いますし、ましてや小さな子供でしょう?本当に準備が足りていませんよね。これじゃ、せっかくのロボットの性能が生きるどころか、逆にしてしまいました。そのくらい実はロボット手術は術者の腕、チームの技量が問われるんです。彼には本当に腕があったと言えるんでしょうか?
僕らのチームでは、100例を過ぎたころですかね。そのぐらいでようやく見えてきたものがありますよ。まもなく500件になるのですが、その経験値が今の自然な準備に繋がっています。それでも、もし、今回のように子供さんの手術をしなくてはいけなかったら、チーム全員で真剣に討議して準備をするでしょうね。
ダビンチの手術の際に開ける穴は、右わき腹肋骨の間に開けて、そこから器具を挿入するんです。肋骨と肋骨の間の距離は体が小さければ狭いですから、女性とか、子供さんの場合は、要注意なわけです。穴と穴の距離が近すぎれば、その器具の付いているアーム同士がぶつかることも当然あり得る。明らかに人為的ミスですよ。
だから、もし、僕らのチームだったらと考えた時に、そもそもあんなミスは起こらないと思いますね。それに、腕のある人、例えば渡海医師とか高階医師が交代してキチンと機械のことをわかってやれば、ロボットでリカバーもできたはずですよ。
ドラマですからね、非現実的なところもある程度はあるのかな、と思いますが、ここからロボット手術がどのように描かれていくかは、現実の世界でダビンチを使って手術している僕としては注目せずにはいられませんね。

渡邊先生の病院がロケ地としても協力してくださいました

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実はドラマで出てくるダーウィンは、僕がいつも使っているダビンチなんです。病院でロケが行われたので、実際に、あの松岡医師(音尾琢真さん)にも指導したんですが、飲み込みも早くて驚きました。ドラマではかわいそうな役でしたけどね(笑)
役者さんたちから「おー!」という声が出るたびに、僕が最初にワクワクしながらダビンチを見て触った時と同じような感覚を持ってもらえたのでは、と思いましたね。

PROFILE

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ニューハート・ワタナベ
国際病院総長
日本ロボット外科学会
理事長
渡邊わたなべ ごう
1958年、東京生まれ。
心臓血管外科医、ロボット外科医 (da Vinci Pilot)、心臓血管外科学者、医学博士、(心臓血管外科専門医、日本胸部外科学会指導医)等々。
ドイツで最年少心臓移植執刀医として実地の手術を担当、2年半ドイツで活躍。
"天才心臓外科医""天使の手"と称され、現在外科医の世界で圧倒的名声を得て、その至高かつ芸術的と称される手術で世界のベストドクターに選ばれる。

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