新時代の心臓手術─ロボット手術とは?|日曜劇場『ブラックペアン』

SURGICAL SYSTEM

新時代の心臓手術─ロボット手術とは?
第5話から登場する手術支援ロボット・ダーウィン(※)
最先端の“ロボット手術”について、
監修先生のお話を基に紐解いていきます。
(※)高精度の3D内視鏡を備え、超精密な手術を行う実在の内視鏡下手術支援ロボット・ダビンチが劇中では「ダーウィン」という名称で登場します。

vol.7ロボット手術の未来・心臓外科の未来

最終回では、渡邊先生にロボット手術、そして心臓外科の未来について語っていただきました。

ロボット手術の未来は?

今後、ロボット手術はごく普通、当たり前の手術の道具の一つになっていくと思っています。誰でも使うことのできる道具の一つに。
でも、今はロボット手術が始まってそんなに経っていない“手術の過渡期”なので、研修、鍛錬の大切さを強調して「腕のいい術者が使わないと人殺しの道具にすらなる」と言うのには、はっきりとした理由があります。
今のロボットは、人が操作する機械です。モノを3次元で見て、手の動きを内視鏡の機械を使って作業をする、ということを人がやっています。
例えば、表面とか組織とかは患者さんそれぞれに個性があって違うのを、人の目で見て認識して判断して、人が加減をして調節してそれを機械に伝えて作業をする。これは厳密に言うとロボット手術じゃないわけです。今のロボット手術は「遠隔型の内視鏡手術
ということなんです。となると、術者の技量がやはり最も大事。それが現在のロボット手術です。
でも、一般の方が思う「ロボット」のイメージは違いませんか。
機械が正確に判断して寸分の狂いもなく操作する、そんなイメージの方が多いと思う。それが今後のロボット手術の未来だと思っています。
これからはどんどん変わっていって、ビッグデータとかコンピューターがどんどん入ってくる時代になりますよね。そうすると、それぞれ違う個人、個性の違う患者さんの「識別」して、ここが尖っているとかへこんでいるといった個体差を瞬時に「判断」して、組織や血管という「認識」を始めて、それに対して何?切るとか。個人のデータまで読み取れるようになるんです。
今はその読み取りができていないし、僕が見て判断して加減をして作業をしているという部分もデータとしてアーカイブされていない。今後、個人のデータが正確に読み取れてアーカイブ、蓄積されるようになっていくと思います。
例えば、Aさんの体はこうなっています、でもBさんの体はこんなですと違いもすべてデータ化されて、そうするとそのデータを見ながら行った判断や処置もデータ化されると…。そうやって行くうちに半自動から完全自動へと進んでいくのだと思います。

人の手がいらなくなるのでしょうか?

もちろん、すぐにはならないですよね。まずは、まだ完全自動化でない今から、エキスパートの技術をいかに蓄積するかだと思います。
例えば、血管同士の吻合でもここを持ってこんな風に糸をかけて、こう縫ってという処置をすべてアーカイブして、ディープラーニングして、それができたら、僕よりはるかに早い的確なやり方を機械が自動的に考えてやっていく時代が来ると考えています。
ただ、まだ現時点では医療の3次元データをそこまで使えるようにデータ化できていないのです。
もっとも、既に車ではあると聞いています。カメラがいっぱい付いていて、道のデコボコや傾斜を正確に認識して、ここには石があるからこっちを通ろうとか判断して、スピードとかトルクとかハンドルとか切り替えて登っていく。そんな車ができる時代ですから、いずれ人間の体の個体差なんて克服して自動化に進んでいくと思いますよ。

心臓外科手術の未来はどうなるのでしょう?

僕は50年後の未来がどうなってるかなと考えるんです。そうすると外科はなくなっているんじゃないかとすら思います。よくテレビのCGとかであるけれど、血管の中をカメラが旅をするように進んであちこちの臓器に到達したりするでしょう?本当にそうやって、実際に中に入って患部に到達して治せるようになったら切る必要ないわけですよ。
もちろん、それには医療機器の進化・発展や先ほどから指摘しているデータの蓄積とかが必須なわけですが、明らかにそちらに向かっていると感じます。
実は実感があるんですよ。例えば、不整脈の外科手術で心室頻拍とか心房細動の治療も最初はMaze治療と言った外科手術しかなかったのが、もう既にカテーテル治療に変わりましたよね。外科手術が劇的に減って今や1%くらいしかないんですよ。バイパス手術だって、コストの問題が克服できたら8割がたがカテーテルになっていくと思います。
カテーテルが進化してどんな細い血管までも到達できるようになっていくし、大動脈弁置換だって外科手術ではなくカテーテルに置き換わって、ドラマに出てきたスナイプのような機械の時代になってきている。更には遺伝子治療も入ってくるともっと違うアプローチだって考えられます。そこまでは50年もかからないと考えているんですよ。人の意識は劇的に変わりますからね。
そうなると50年後は全く違う。今生まれる子供が心臓外科医を目指していっても心臓外科自体が違うものになっている可能性もあると思っています。やっぱり医療は生きているんですよ。

ドラマでの派手な手術シーンもなくなるかもしれない?

先進国での医療ドラマの場合は、そうかもしれませんね。医療の進化はその国の豊かさと関係するんです。裕福な国の医療はどんどん進んでも、貧しい国は最先端の機器や道具はなかなか手が届かないのが現実ですから、やはり大きく切って手術をする。そんな格差が大きくなっているのも今の時代ですよね。
あとは、病気になってから考えるのではなく「予防」の知識が重要視されている時代です。知識が増えて病気にならない努力をする人がいる一方、知識が足りなければ病気になるリスクも上がる。そんな格差も出てくる時代だと考えていますから、“医療ドラマと言えば手術シーン”というのも変わっていくかもしれませんね。

PROFILE

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ニューハート・ワタナベ
国際病院総長
日本ロボット外科学会
理事長
渡邊わたなべ ごう
1958年、東京生まれ。
心臓血管外科医、ロボット外科医 (da Vinci Pilot)、心臓血管外科学者、医学博士、(心臓血管外科専門医、日本胸部外科学会指導医)等々。
ドイツで最年少心臓移植執刀医として実地の手術を担当、2年半ドイツで活躍。
"天才心臓外科医""天使の手"と称され、現在外科医の世界で圧倒的名声を得て、その至高かつ芸術的と称される手術で世界のベストドクターに選ばれる。

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