寺田的世陸別視点

第19回8月29日(水)

陸上5日目は男子200mで飯塚&小池の金銀独占なるか
男子棒高跳・山本も金メダルに挑戦

男子200m(日本時間21:05スタート)は日本の金銀独占もあり得る状況になってきた。
4日目の準決勝は2組の小池祐貴(ANA)が20秒35(+0.2)で全体トップ通過。100m5位の楊俊瀚(チャイニーズタイペイ)らを相手に、前半で明らかにリード。後半もそれほど減速しないで押し切った。
「コーナーでスピードを出して、直線は無理なく維持しました。予選をセーブし過ぎたので、準決勝で刺激を入れようと思っていたんです。決勝はやるべきことに集中して、“負けたくない”ではなく、“勝ちたいな”という気持ちで臨みたい」
準決勝の走りを見る限り、小池が優勝候補筆頭だ。

1組の飯塚翔太(ミズノ)は20秒64(-0.3)の2位、全体4番目での通過だった。小池と違い、前半は気持ち抑えめで走った。1つ外側のレーンに100m金メダルのT・オグノデ(カタール)がいて、序盤で大きく引き離された。オグノデは70〜80m付近で脚を痛めてリタイアしたが、飯塚は逆にそこからスピードが上がった。2番手で直線に出て、Y・ヤクーブ(バーレーン)と0.03秒差でフィニッシュした。
「前半のコーナーをもう少し自分のリズムで行きます。小池と一緒に金メダルを目指して行きますよ」
今年の日本選手権も、予選は気持ち前半を抑えて20秒55(+0.5)。決勝で20秒34(+0.8)とタイムを上げて優勝した。そこまでタイムを上げても、力みのない、流れるようなフォームだった。その再現ができれば、金銀独占も十分にあり得る。

男子棒高跳(20:40競技開始)には山本聖途(トヨタ自動車)と竹川倖生(法大)の2人が出場する。
中国は優勝候補、昨年の世界陸上4位の薛長鋭をエントリーしてこなかった。5月に故障をしたという情報もあったが、7月には試合に復帰。だが復帰後は5m40が最高で、アジア大会2連覇は無理と判断したようだ。
姚捷(中国)が5m70、竹川を含めて5m60台が3人いるが、薛が不在なら山本の優勝の可能性が高くなる。
しかし山本自身のパフォーマンスに、薛の欠場で変化はないだろう。元々、「誰が来ても関係ない。自分は5m80を跳んで金メダルを取る」と明言していた。今季は5m70がシーズンベストだが、新しい技術が安定してできるようになり、5m77の自己記録更新に確かな手応えがある。
自己新のバーに、敢然と挑むだけだ。

男子円盤投(22:00競技開始)には、6月の日本選手権で日本新を3投連続でマークした湯上剛輝(トヨタ自動車)が出場する。この種目は4年前の仁川大会は代表を派遣できなかった種目だが、昨年の堤雄司(群馬綜合ガードシステム)の38年ぶり日本記録更新で時代が動き始め、湯上が出した62m16は今季アジアリスト2位。
アジア記録保持者のE・ハダディ(イラン)の4連勝は確定的。2位以下は混戦だが、湯上にもメダルのチャンスはある。
生まれつき耳に障がいがあり、人工内耳を通常は付けている。だが、投てきをすると人工内耳が外れてしまうため、競技のときは着用しない。フィールドに足を踏み入れてからは、まったく無音の状態で行動する。
湯上は「ハンディとは思っていません。逆に競技に集中できる」と言う。審判の合図が聞こえないが「そこは審判とアイコンタクトですね」と、まったく気にしていない。
湯上はジャカルタでも、いつもと同じ無音の世界で投げる。メダルを取れば、男子円盤投では32年ぶりの快挙となる。

女子七種競技は午前中に5種目目の走幅跳と6種目目のやり投が行われ、最終種目の800mが22:40〜22:47にスタートする。
28日に1日目が終了。山?有紀(スズキ浜松AC)が初日を3411点の4位で折り返した。自己記録の5836点(日本歴代3位)を出した6月の日本選手権のときを47点上回る初日の得点だった。
「十種競技金メダルの右代(啓祐・国士舘クラブ)さん、銅メダルの中村(明彦・スズキ浜松AC)さんが、混成競技に良い流れを持ってきてくれました。自己新の種目は今のところありませんが、走高跳が大舞台で自己記録近く(自己記録に1cm差の1m70)を出せたことは自信になります。2日目も合計得点は考えず、1種目1種目自己記録を目標に、楽しんで、あきらめずに競技をします」
合計得点で自己記録を更新すれば、メダルに手が届くはずだ。

寺田 辰朗(てらだ たつお)プロフィール

陸上競技専門のフリーライター。
陸上競技マガジン編集部に12年4カ月勤務後に独立。
専門誌出身の特徴を生かし、陸上競技の詳しい情報を紹介することをライフワークとする。
一見、数字の羅列に見えるデータから、その中に潜む人間ドラマを見つけだすことは当代随一。
地道な資料整理など、泥臭い仕事が自身のバックボーンだと言う。
選手、指導者たちからの信頼も厚い。AJPS(日本スポーツプレス協会)会員。

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