新房昭之
「ひだまりスケッチ×☆☆☆」監督。
他にも「化物語」「さよなら絶望先生」「夏のあらし」等、数多くの作品で監督を務める
◆「ひだまりスケッチ×☆☆☆」制作の経緯
──「☆☆☆」制作決定を聞いたのはいつ頃でしたか？
新房：詳しい時期までは覚えていないのですが、新入生の「乃莉」と「なずな」が原作で登場したので、それはアニメ化したいな、とは思っていました。
── 因みに、シナリオ会議はいつ頃から始まったのでしょうか？
新房：長いですね。「３６５特別編」のシナリオ会議の終わりに、３期の構成をどうするかという話をしていたので、今年の３月くらいでしょうか？なので、乃莉となずなが特別編に少し登場するというのも、その流れで決まりました。
◆第３期「ひだまりスケッチ×☆☆☆」
──全体的な構成について、１期・２期から踏襲しよう、または、変えようといったお話はされていったのでしょうか？
新房：進級後は、時系列通りにエピソードが進んでいきます。
また、気持ちの入れ替えはあってもいいのかな、と思っていたので、改めて新番組が始まるという気持ちで制作しています。
そういう意味では、前回までのものを全て踏襲しなくても、今回は良しとしようという腹積もりはできました。もちろん、今までの構成を変えるというのは、なかなか悩ましい部分ではありますが…。
──
先日「☆☆☆」アフレコも始まりました。
新キャラクターの「乃莉」「なずな」の印象は、実際に聞いてみていかがでしたか？
新房：今回は、まだセリフも少なかったので…。なんとも言えないかな。
──新キャラクターに関しては、キャストさんと空気感が合っている方を選んだと伺いました。
新房：そうですね。自分はあまり芝居の上手い下手では選びません。
それよりも、キャラクターの声として立ってくるか、はまっているかどうか、という方が重要ですね。
そういった意味では今回のキャスティングは良いと思います。
──キャラクターデザインに関して、監督と伊藤さんで練り直したということを伺っています。
どういった意図があったのでしょうか？
新房：意識したのは、６人が並んだときのバランスですね。
メインキャラクターが途中で２人増えるというのは、面白い経験ではあるのですが、今までの４人が並んだ時のバランスがあまりにも良かったので、そこは少し変えなければいけないと思っていました。
実は、３期のキャラクターデザインは、より原作の絵に近づけるようにしています。また、さっきも言いましたが、３期は、「新番組のつもりで」という思いもあったので、ビジュアル的にも変化があった方がいいだろうとは思いました。
蒼樹：その部分を新入生と、新しくなったキャラクターデザインが引っ張っていってくれるといいですね。
（今回のインタビューには蒼樹先生も同席されていました。）
新房：そうですね。そうなってくれるといいですね。
ただ、もちろん、前作からのファンの方も当然いるので、そこの調整は難しいですね。
キャラクターデザインの伊藤さんに今まさに頑張っていただいています。
──現在、徐々に上がりつつある伊藤さんのキャラクターデザインはいかがでしょうか？
新房：非常に良いと思います。
── 因みに、蒼樹さんは漫画を描く際、新入生が入ったことによって作画的に変わったことはありますか？
蒼樹：絵的には何も無いですね。
もともと新入生は、４人の中に入った時、どういう風に見えるか、ということを考えてデザインを起こしたので。
新房：漫画は最初に自分で作ったデザインを何度も変えて、どんどん手に馴染むように、絵が変化していきますよね。
一方でアニメは、１度キャラクターデザインを作ったら、基本はそれに忠実。
だから変わらないんですよ。急激に変わってしまうと違和感になってしまうので。
漫画とアニメの間をとっていければ理想だと思いますね。
◆１期・２期を振り返って
──１期「ひだまりスケッチ」を振り返って印象的なことはありますか？
新房：制作スケジュールが厳しい時期もあり、もうだめなのかな？と思ったりもしました…（汗）。
でも、ファンの方々に声援をもらって、支え続けて頂いて、嬉しいかったですね。
それに作り手の人達も頑張ってくれたので。ああいった辛い時期を超えて、今があるので、本当にありがたいです。
あとは、伊藤さんの作品にかける愛情ですね。あれにはもう、かなわないですよ…。
──２期「ひだまりスケッチ×365」が決まったときはいかがでしたか？
新房：１期の大変だった時期を乗り越えたというのもありますが、やはり、ファンの方々の声援に応える形で、２期の制作が決定したので、嬉しかったですね。
◆最後に
── こんなにも「ひだまりスケッチ」が皆様からの声援を受け、支持される続ける理由を、どの様に考えられていますか？
新房：やはり、作品の「まったり感」ではないでしょうか？もちろん、キャラクターの魅力もあると思いますが、原作の空気感を崩さないように意識してアニメ化して、それを、見てくださった方々に受け入れて頂けたからではないでしょうか。そんな気がします。例えば、ひだまり荘があったら行ってみたいですし、やまぶき高校に行ったら、ゆのたちの教室の片隅に座って彼女達の様子を眺めていても楽しいだろうなぁと。
──では最後に、「ひだまりスケッチ」を今まで見てくださった方々と、
これから見てくださる方々へ、メッセージをお願いいたします。
新房：１期・２期と、皆様の声援に支えられて実現した３期です。
また、まるで新番組が始まるという気持ちで作りたいという思いもありますので、今まで応援してくださった方々はもちろん、これから新たに見てくださる方々にも楽しんで頂けると思います。まぁ、ぶっちゃけおもしろいよ！
──ありがとうございました！