アートギャラリー


Photograph by Robert McKeever, courtesy of Gagosian Gallery
©Estate of Roy Lichtenstein, N. Y. & JASPAR, Tokyo, 2013 E0434
《鏡の中の少女》
鏡はヨーロッパの絵画において伝統的に用いられてきたモティーフである。絵画空間を多層化させるためや、様々な寓意を込めて、画家は絵画の中に鏡を取り入れてきた。リキテンスタインにとってもまた、鏡は重要なテーマであった。
本作では、鏡越しにこちらに微笑みかけるブロンドの少女の肌にはベンデイ・ドット(印刷の網点)が用いられ、鏡の反射は、漫画などに見られる定型化されたやり方で表現されている。
またリキテンスタインは、地下鉄の案内板の光沢のある表面の仕上げに着想を得て、本作を鋼板にエナメルによる着色という工業製品のような手法で制作した。
本作は、1963-65年に多く制作された、漫画や広告からとった少女の顔をクローズアップで描きだす一連の作品の中のひとつであり、同時に彼の鏡への関心を示す初期の作品といえる。