アートギャラリー

Photograph by Robert McKeever, courtesy of Gagosian Gallery ©Oldenburg

《ジャイアント・ソフト・ドラム・セット》: オルデンバーグは、1950年代末から路上で集めた廃品などを用いたエンバイラメント的な作品の制作やハプニングを行っていたが、1960年代になると大量生産される日用品を石膏などで形づくった作品による「ザ･ストア」を展開した。作品は次第に巨大化し、またビニールといった柔らかい素材で覆われた「ソフト･スカルプチャー」と呼ばれる立体作品が制作された。本作《ジャイアント・ソフト・ドラム・セット》もまた、ソフト･スカルプチャーのひとつであり、ビニールで作られたドラムのパーツは重力に従い垂れ下がり、元の形をとどめていない。オルデンバーグは、それらを人体の臓器に例えている。一方で、彼は、本作をコロラド州アスペンに滞在した折に目にした山々の風景から着想したとも述べており、ドラム･セットは、尾根から立ち上がる入道雲や、そこから連想される雷の轟きとも重ねられる。それは、その後コーシャ・ヴァン・ブリュッゲンと共に行われるようになる、日用品を巨大化し屋外に設置する、モニュメンタルな作品への移行を予感させる。