アートギャラリー


Photograph by Robert McKeever, courtesy of Gagosian Gallery
©Jasper Johns /VAGA, N.Y. & JASPAR,Tokyo,2013 E0434
《地図》
1955年、ジャスパー・ジョーンズはアメリカ国旗を描いた《旗》によって一躍脚光を浴びる。「旗」は、続く「標的」も同様であるが、その図柄があって初めて意味をなすことからもわかるように、イメージであると同時にオブジェでもある、特殊なモティーフである。どこにでもあり、誰も目をとめない、既成のイメージを忠実に写し取った絵画は、抽象とも具象とも言えない、絵画そのものの意味を問うようなきわめてオリジナルな芸術として、高い評価を受けたのである。「地図」もまた、「旗」や「標的」と同じく、イメージでもオブジェでもあるモティーフである。
ジョーンズは、アラスカとハワイを除くアメリカ合衆国48州の地図をモティーフとする絵画を1961年に初めて描いている。「旗」と同じく、アメリカ合衆国そのものをあらわした絵画でもあることが、注目されよう。1965年の《旗》は、ほとんど黒一色の絵画で、カンヴァスの上に、右下の4分の1は油彩で、残りは木炭で、描かれている。この構成は、星条旗を逆さまにしたものと同じである。
真っ黒な地図=旗によって、ジョーンズが暗示しようとしたものは、何だったのだろうか。