第2話より:千原淳一へのメッセージカード=チェシャ猫

笑顔で当たり障りなく患者と接する千原は、一見すると人の良さそうな印象を与えますが、実は、その笑顔は作り笑いで、患者の気持ちはお構いなし。興味のあることといえば自分の研究だけで、「医者は患者とメスに縛られているほどヒマじゃない」と公言してはばからない医者でした。そんな千原へ明日美が送ったメッセージカードは、目隠しをした「チェシャ猫」が人を切り刻もうとしている姿を描いたもの。
このチェシャ猫、「不思議の国のアリス」の中では、常にニヤニヤと笑いを浮かべて人間の言葉を話す不思議なネコとして描かれるキャラクターで、「grin like a Cheshire cat=わけもなくニヤニヤ笑う」という慣用句が元になっているといわれています。ちなみに、この慣用句は、アリスが書かれた当時にポピュラーな言い回しだったとか。
にやけた表情で捉えどころのない千原をチェシャ猫のキャラクターに重ね合わせ、目隠しをしたチェシャ猫として描くことで、目に疾患を抱えている千原の秘密を暗示したものです。