週刊Scoop[3月2日号]

セレブ御用達保育園誘拐事件 裏に格差社会への恨みか 「金持ちの親たちに一泡吹かせてやりたかった」保育士の過酷な労働状況

(写真) 珠洲宮保育園に通う美山歩美ちゃんの身代金目的誘拐事件は、睡眠薬を飲まされてはいたものの、目だった外傷もなく保護することが出来たことで関係者一同、胸をなでおろした。2年前に起こった「昌彦ちゃん誘拐事件」は、身代金の請求に応じたものの、昌彦ちゃんは薬の副作用で死亡してしまうという、日本初の児童誘拐殺人事件となった1964年「吉展ちゃん誘拐殺人事件」に次ぐ惨事となってしまった。「吉展ちゃん誘拐殺人事件」を機に設立されたSITとしては、その手口からおそらく「昌彦ちゃん誘拐殺人事件」と同一犯の犯行と見られる今回の歩美ちゃん誘拐事件の犯人を何としても捕まえるべく、当時に続きまたしても目撃情報、不明瞭なアリバイなどから重要参考人として、藤波優子さんに早くから目をつけていた。しかし、NPSの速田警部はじめ香椎隊長たちの地道な捜査で、犯人は優子さんに罪をなすりつけるべく、優子さんの携帯電話を使用し、わざわざ変装までして事件を起こしていたことが判明した。

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(写真) 真犯人は珠洲宮保育園の同僚というショッキングなものだったが、犯行は単独ではなく、複数人で行われていた。中途半端な身代金の理由がなかなか見つからなかった警察だが、それは彼女たちの給与への不満の表れだということが判明した。待機児童が多いにも関わらず進まない保育所の確保、そこに加えての過酷な労働条件、保育士一人当たりの担当児童、さらにモンスターペアレント、クレームの嵐、理不尽な要求など保育士のストレスもたまる一方で、離職率も高くさらに悪循環に陥ってしまうという。相当な子ども好きであっても続けていくことはつらい保育士という仕事、金持ちの子どもたちの面倒をこれだけ見ているのに給料は低いまま…格差を毎日まざまざと思い知らされ続けることに不満を爆発させたとはいえ、彼女たちのしたことは許されることではない。しかし国、自治体による抜本的な対策が必要であることは間違いないだろう。

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